*****


勢いよく職員室の扉を開けると、何人かの先生が不思議そうな表情でこっちを見てきた。特に、私の苦手な体育の先生は怪訝そうだった。

そんなことにも構わず、一直線に悠真の机へと向かっていく。



「どうしたの、湯澤くん」


悠真も何事か驚いている。


「あ……いえ、あの……なんでもないです」


今さっき女の子に告白されましたなんて恥ずかしくて言えるわけがない。

悠真を前にすることによって、私はようやく落ち着いていくのを感じた。



「2年5組はどう?」

「みんないい人たちです。すぐに友達ができました」

「そっか、よかったな」


そのときの悠真のはにかんだように笑う表情が、私が以前見た光景と重なった。

あれは確か、去年のクリスマス。悠真からもらったクリスマスプレゼントに私が大喜びしたときに見せた表情だ。


だめだ……思い出したら悲しくなってきた。



「そうだ。簡単に学校案内しとこうか」


悠真はすくっと立ち上がって、私を職員室の外へと連れていった。