私が頷くと、その子は満足そうににっこりと微笑んだ。


「私、竹山奈美。よろしくね」

「うん。こちらこそよろしく」


私にとっては同性だが、康樹君にとってここで初めての異性の友達ができた。


―――と、そのときは思っていた。




事態が急変したのはその日の放課後だった。帰ろうとバッグに用具をつめているとき、奈美が現れた。


「湯澤君、今ちょっといい?」

「あ、どうかした?」


手を休めて、奈美に向き直る。


「湯澤君って彼女とかいるの?」


…………?いきなり何を言い出すんだ、この子は。


「いないけど(たぶん)」

「じゃぁ、私を彼女にしてくれないかな!?」


はぁ!?私

私はどこぞのマニアック映画でも見ているような気分になった。