2年5組。今日からそこが私の新しいクラスだ。


「湯澤康樹です。よろしくお願いします」


自分の体じゃないと思うと、人前で挨拶しても全然緊張しなかった。むしろ悠真が担任のクラスに入るということのほうが緊張をもたらしてくる。


とにかく目立たないように過ごそう……


窓際1番後ろの空いた席に腰掛けると、そこから教室全体を見渡すことができた。



「ねぇねぇ、湯澤君ってどこから来たの?」


いきなりそんな突拍子のないことを訊かれ、気がつくと隣に座っていた女の子から声をかけられていたことがわかった。


「えーっと……、東京」


かわいい子だなぁと重いながら返答する。


「東京?いいなぁ……私1度でいいから渋谷とかに行ってみたいんだよね。やっぱ人多いの?」


私は東京出身ではないので少しだけ戸惑う。


「あ、うん。でもいつもあんなカンジだよ」

「へー!じゃぁ今度東京行ったら案内してね」