あれ、ここはどこ……?
私確か……すごく大切なことがあったような気がするんだけど……。
なんだっけ……思い出せない。
っていうか、体だるっ!なんなの、まるで……自分の体じゃないみたい…………
「おーい……そろそろ起きろ」
「ん…………」
誰かの声に気がついて目を覚ますと、そこには知らない天井が広がっていた。しばらく呆けていると、ぬっと声の主が顔を出してきた。
「あ、ほんとに起きた。大丈夫か?」
茶髪でいかにも現代風な男。
あれ……、この人をどこかで見たことがあるような気がする…………
「まずは自分の名前と生年月日と年齢を言ってみろ」
「え……、吉井 橙子…………6月10日生まれ。25歳」
「よし」
何がよしなのかはわからなかったが、そう言われたことによって私自身の頭もはっきりとしてきた。
「何か大事なことを忘れてないか?」
「大事なこと……うん、そう、それをさっきから思い出そうとしてるんだけど……」
「10月15日」
男の言葉でようやく私は全てを思い出した。
「そうだ!私明日結婚式なんだ!やだー、もうなんでこんな大事なこと忘れたんだろー……って、今日14日よね?」