「この間高島を送っていった時に……」

「なんで?」

「一年怒られていたじゃん、で部室の掃除を言いつけられて高島一人でやってて俺らと同じ電車だったんだよ、高島も同中なんだ」

「ひでえ」

「だろ?その時に練習して上手くなりたいっていってたから、ちょうど俺も練習したかったし休みがあったからな、だから練習って形にした」

「なるほど、高島の為な」

直哉はニヤニヤしながら言った

「なんだよ」

「いい子だよなー、高島」

「確かにいつも一生懸命で……ああいう子いいよなー」

厚仁と幸平も同感の意見を言う



「ああ……いい子だな」

和翔がつぶやいたと同時にみんな和翔のほうを見る

「もう和翔が好きなのわかったから(笑)」

厚仁がからかった

「なっ俺、好きなんて一言も言ってないし」

和翔は真っ赤になる

「誰かにとられるぞー、お前が手取り足取りマンツーマンで教えてやれば?」

「幸平まで」

和翔は頬を赤らめ、顔をタオルでぬぐった

追い打ちをかけて篤志が言う

「ほんとだよ、二人ですればよかったのに」

「っ、みんなでしたかったんだから……二人でなんて考えつかなかったし……」

和翔はだんだん声が小さくなっていった




女子四人は昼食のあとロッジにいた

莉乃はTシャツを着替えて時計を見る

「もうそろそろ行く?」

「うん」

静香も着替えた

「うちらあと五分くらいしたら行く」

穂乃と絵里は残った



莉乃と静香は話ながら体育館に入った途端

「あっごめんなさい」

男子がストレッチを終えて着替えていたところだった

「俺らのたくましい肉体見る?」

篤志がボディビルのポーズをとる

「いいです」

「早く着て」

莉乃と静香は後ろを向いた



「いいよ」

二人は振り向くとまだ服を着ていなかった

「……まだじゃん!」

莉乃は顔に手を当てて目を閉じた

男子達は早く着ろよーと篤志に服を着せた



和翔の両親がやってきた

「揃ってる?」

「あっすみません、あと二人……」

穂乃と絵里は走って来ていた

「じゃあ、午後はポジション別に分けるわね」

篤志が莉乃に教えてる姿が和翔の目に入ってきた

母親はすぐ気付き

「和翔、よそ見しない!」

「はい」

「お父さん、男子の方のタイマーお願い、残り20分連続で百本ランニングシュートね」

「わかった、本数みんなで数えてミスったらまた最初からだよ、確実にな」

「はい」

「女子は集まって」

「はい」

「みんなシュートのフォームがブレすぎる、体幹弱いかな、しっかりボールをあげてね、右からのシュート二周したら次真ん中、左ね、はい、始め」

「はい」