「席はどこですか?」

「廊下から二列目の後ろから二番目」

「狭いので手を繋ぎますね」

穂乃は手を繋ぎ席まで連れていく

男子生徒は机の中から予備のメガネを出してかけた

「あれ?」

「後ろです」

穂乃は手を振っていた

「見えました?穂乃でーす」

「かわいいねというか美人だね」

「そんな正面から言われたことない、先輩やっぱりメガネないほうがイケメンですよ、コンタクトにしたら?あっ余計なこと言った、またタメ語使っちゃった、ごめんなさい」

「そのくらいなら僕だったら許しちゃうかもだけど」

「あたし、ワガママすぎて彼氏できてもすぐ振られちゃうんです、友達にあたしのワガママ聞いてくれる人じゃないと彼氏できないよって……先輩がワガママ聞いてくれるなら穂乃付き合ってもいいよ」


「……ワガママの程度によるよね、いくら僕でも一般常識ない子は付き合いたいと思わないし、顔だけで許されるのもどうかと思うしね、無理して彼女欲しいとも思わない」

「誰も注意してくれないからわかんない」

「さっき莉乃ちゃんが注意してくれてたよ」

「莉乃は穂乃の性格をわかってくれてる、この間はケンカしちゃったけど、莉乃はいい子、さっきいた莉乃の彼氏もあたしの元カレだけど二週間で振られたし、今までの彼も何も言ってくれないもん」

「穂乃ちゃんも聞かなかったんだろ?別れようって男が言ってもすぐ受け入れてたんだろうね、別れる理由を聞かなかったし穂乃ちゃんも本気で好きじゃなかったんじゃないかな、またタメ語に戻ってるし(笑)」

「あっ」

「まあそういうとこから直していかないと社会に出たとき自分が困るよ」

「そうなの?あっそうなんですか?」

「部活は入ってる?」

「バスケ部です」

「じゃあ先輩にはできるんだからやろうと思えばできるんだよ、僕が注意してあげようか?」

「どうやって?……ですか?」

「仮の彼、彼女ってことで、僕にちゃんと後輩としての態度がとれるようになればいいだろ?少しずつ直していかないとね、穂乃ちゃんは優しいし僕も美人には弱いかな~(笑)彼女のこと悪く言われるのは男だって嫌だしね、一年生につきあってもいいよって言われるのも穂乃ちゃんが男を上から見てるってことでしょ」

「すみません、今まで誰もそういうこと言ってくれなかったから」

「そういう小さいことが積み重なって誤解もされて広まっていくんだよ、やればできる子だと思うけどね」

頭をポンポンなでる

「ここまで連れてきてくれてありがとう、穂乃ちゃん」