「あー、そうなんだ、でもまあ掃除くらい全然いいよ、今日は練習もほとんどしてないし、準備だってしてないんだから」

和翔は莉乃を見るとニコニコと笑っていた



普通掃除一人で押し付けられたら嫌がるんじゃねぇかな、なんで笑顔なんだよ

つられて和翔も笑顔になる

「お前っていい子だな~(笑)」

和翔は莉乃の頭を上から押さえる

「ち、ちょっと私背が低いんだから上から押さえないで、縮みそうで嫌だ、いいな~松島くんは背が高くて」

莉乃は和翔を見上げた

「高島は身長何センチ?」

「15…5?くらいかな~」

「ん?(笑)今誤魔化した?この間測定あったよなー」

「153です」

「(笑)2センチのサバ読みかよ」

和翔は大笑いした

「もう~、いいじゃんそんなに笑わなくても……もう伸びないのかな~」

「まあ、小さくても動きは速いしドリブルは上手いからちゃんとチームの役に立つんじゃねーの」

「そっかな~、松島くんは何センチ?」

「185」

「高いね〜もっと牛乳飲めばよかったかなー」

「親は高い?」

「お父さんが低いかな、お父さんに似たんだよね」

莉乃は手を挙げて和翔と身長を比べる

「俺ん家は両親とも高いからな、バスケも二人ともしてたし」

「いいなー」

莉乃はキラキラした瞳で和翔を羨ましそうに見上げた

「松島くんは中学から上手かったもんね、教えてほしいくらいだよ」

「俺でよければ教えるよ」

莉乃の顔がパァっと輝いたと思ったらすぐに下を向いた

「……やっぱ忙しいのに悪いよ、部活中なんて無理だし時間がないよ」

「部活中は無理だけど今度時間があったら教えてやるよ」

再び顔が輝いた

「本当に?シュート率あげたいんだー」

シュートをする姿勢をとる

「三年の先輩が引退したら頑張るんだー、今はあまり出来ないから……」

「男子もそうだよ、仕方ない」

「あ、私ここ曲がるから、また明日ね」

莉乃と手を振って別れた




「ただいま」

「おかえり和翔」

「腹へった、メシ」

「出来てます」

和翔は着替えてダイニングにやってきた

「いただきます、二人共もう食った?これ、全部食っていいの?」

「いいわよ」

「あっ、ねー母さん、父さん、来月の15日って空いてる?」

母親はスケジュール帳を開いた

「空いてるわよ、土曜ね」

「先輩らが大会前で練習試合に行くんだよ、一年は休みなんだ、体育館借りて練習したいなと思って」

「タブレット持ってくるからちょっと待ってろ、体育館空いてるか見てやるよ」

「うん、モグモグ、ん、おかわり」

和翔にご飯をつぎながら母親が聞く

「何人いるの?」

「男子六人、女子四人」

父親が部屋から戻ってくる

「ん?十人か?」

「全員が来たらだけどまだ人数はわからない」

父親が体育館の空き状況を見てくれた