「先に帰った」

「何で?」

「私らが言ってもいいけど直接莉乃から聞いたほうがいいかも……」

和翔は時計を見た

「今電車出たな、仕方ない帰り寄ってみるよ」



ピンポーン

「はーい、和翔くん開いてるわよ」

「莉乃は帰ってます?」

「帰って部屋に走って行っちゃったけどケンカした?」

「俺じゃなくて内谷とみたいで……」

「そう、私、りーくん迎えにいくから頼んだわ」

「はい、いってらっしゃい」

莉乃の部屋をノックする

「莉乃開けるよ」

「和くん……先帰ってごめん」

「うん」

和翔は莉乃をそっと抱き締めた

「和くん……和くん」

莉乃は泣き出した

「うん、落ち着いたら話して」

和翔は莉乃の背中を優しくなでる

30分ほどして莉乃は和翔に話した

「私一人で張り切りすぎなのかな、穂乃のダラダラさが段々目についてきたのは自覚してたけど和くんとデートなんて……そんな軽い感じで言って欲しくなかった」

「安心しろよ、内谷とデートなんてする訳ないから」

「わかってはいるんだけど……」

莉乃は和翔にしがみつく

「俺が中学の時にそうだった、やっぱ考えが違ってて勝ちたいって思ってる俺はキャプテンだったのに全然まとめれなかったよ、やる気のない奴とやってもな、レギュラーだけ固まってさ、それでも勝てなくてキャプテン失格だって痛感したな」

「そうだったの、中学の時は男子はもう少しで県大会とかいけそうだったのにね」

「まあそれを目指して頑張ろうって思わない奴もいるってこと、莉乃が今頑張ってるのは内谷以外には伝わってると思うよ、だから内谷だけ差が出来てるし他の二人は上手くなってるよ」

「ほんと?よかった、ごめん和くん、お母さんの練習あるのに寄ってもらって、もう大丈夫、お母さんには今日は休むって伝えて、明日からまた頑張る」

「わかった、チュッ」



新学期に入った

穂乃もテストを無事にクリアして練習に参加する

「次は莉乃のパスからのランニングシュートの練習ね」

キャプテンが指示を出す

穂乃に回ってくるが莉乃の出すパスが早すぎて取ることが出来ない

「えっ」

「穂乃、早くボール取ってきて」

「はい」

列に戻るがどうしても手で取ることができずに弾いてしまう

「穂乃は外に出て、莉乃とパス練習」

「はい」

二人はパス練習をする

「こんなに早くて力強いパスだったっけ、穂乃だけ?」

「そんなわけないでしょ、穂乃だけスピードについていけてないのまだわかんないの?前に和くんにも言われたでしょ」