「悪魔だったら、一体どんな案を僕に提案してくるの?」

「さぁ。悪魔じゃないから、私にはわからない。そんなことより、重要なのはそこじゃないでしょ。彼女の転校を引き伸ばすのも、引き伸ばさせないのも、あなたが握っているのよ。このまま自分のことを好きになってくれない彼女のために、まだあなたは転校を引き伸ばす気なの?」

そう言いながら、女神様は怪訝そうに眉間にしわを寄せた。

「引き伸ばすに決まってるだろ。お金を納めなかったら、つぼみと別れてしまうんだぞ!」

僕は一切迷うことなく、即答した。

「君、そんなにその彼女のことが好きなんだね」

少しさみしそうな声で女神様に言われ、僕は「ああ、好きだよ」と、隠すことなく正直に言った。

つぼみとは長い付き合いだが、彼女に対して恋心なんて抱いてなかった。普通によく喋る友だちのひとりにしか見てなかったし、尊人がつぼみと会話している姿を目にしても嫉妬心なんかなかった。しかし成長していくにつれ、彼女に優しくされていくうちにただの友人のひとりから、いつしかつぼみは僕にとって大切な人になった。それと同時に、尊人がつぼみとしゃべっている姿を目にすると、嫉妬心が込み上げた。