「それで君は、その親友に嫉妬してるの?」

「嫉妬はしてない。ただ、僕が彼女の願いをかなえているのだから、自分以外の人を好きになってほしくないだけ」

彼女に対する僕の愛情表現は、束縛にも近かった。片想いを通り越して、自分だけを好きになってほしい。そんなゆがんだ、一方的な愛情だった。

「そういうのを嫉妬っていうんだよ」

あっけなく、女神様は僕に正論を言った。

「そうかもね」

女神様に正論を言われて、僕は苦笑するしかなかった。

たしかに僕は、友人の尊人に嫉妬している。いつか尊人とつぼみがデートをしていたかわからないけど、その姿を想像するだけで僕の妬む気持ちは消えることはなかった。

「でも、君が嫉妬する気持ちはわかるよ」

「そ、そうだよね」

女神様にそう言われて、僕はうれしそうな顔をした。

「けど、君がまだ彼女の転校をそこまでして引き伸ばすことはわからない」

「えっ!」

突然、女神様の声色が変わって、僕は開いた口から驚きの声を小さく上げた。