「で、かなえる願いはそれで………」

「僕の好きな人、違う男性のことが好きだったんだ」

女神様の言葉を途中でさえぎって、僕は静かにそう言った。

「えっ!」

それを聞いて、女神様は口を半開きにした。

夜が深まるにつれ、街の気温が低下していく。周囲から聞こえる鈴虫の鳴き声が、どこかさびしさを感じる。

「好きな人って、転校を引き伸ばしている彼女のこと?」

「うん、そうだよ」

女神様にそう訊ねられて、僕はかすれた声で言った。

「違う男性って、誰のことが好きだったの?」

「僕の……親友のことが好きだったんだ」

一泊を置いて、僕は小さな声で言った。

夜空はさっきよりも暗くなっており、そのせいか星がキラキラと輝いて見えて美しかった。

「そうなんだ」

そう言って女神様は、僕を見つめた。

神様とはいえ、美しい人間の姿をしたおとなの女性に見つめられると、ドキッとした。