「ちょっと待ってよ。たしかに殴ったけど、僕も蹴られたんだよ」

僕の言い方は、なぜか言い訳のようだった。

「でも神宮君、どこもケガしてないよね」

「えっ!」

彼女にそう言われて、僕の口からほうけた声が漏れた。

「尊人君が仮に蹴ったとしても、神宮のように血が出るぐらい、本気で殴るなんてあんまりよ!」

つぼみにはっきりとそう言われて、僕は奈落の底に突き落とされた気分になった。