「お前、さっきと言ってることが違うじゃないか!」

「ふん、それがどうした?土日に俺がつぼみと一緒にいて、願にどんな関係があるんだよ?」

「お前………」

今の尊人の言葉を聞いて、僕の疑っていたことがほんとうだとわかった。

つぼみと尊人がこっそりとデートをしていたと思うと、僕の胸の中にある黒い感情が一気にふくれ上がった。

「じゃまなんだよ、願は。だからこっそり、つぼみと一緒に帰ってデートしてたんだよ」

「お前………」

彼の正直な想いを耳にして、僕は怒りでぶるぶると体が震えた。

僕の大切なお金を神社に納めているからつぼみの転校を引き伸ばすことができているのに、尊人がこっそり僕の好きな彼女とデートをしていたことに猛烈な怒りを感じた。

「お前!」

怒り声を上げて、僕は尊人の頬を力いっぱい拳を握って殴った。

尊人の顔がぐにゃりとゆがみ、近くにあった机に体をぶつけてその場に倒れた。それと同時に机も倒れて、大きな音が教室にひびいた。