「怒ってないよ」

そう言った僕だが、心の中では彼に不満感があった。

「ほら、その言い方。絶対、怒ってるでしょ」

尊人は、からかうような口調で僕に言った。

「しつこいぞ!」

僕は、わずかに口調を強めた。

「ははは、怖いなぁ。でも、つぼみがまだ学校に入られてよかったなぁ」

なにげなく口にした尊人の言葉を聞いて、僕の頬がピクリと動いた。

「神様って、ほんとうにいるのかもな」

口元をゆるめて、尊人は静かにそう言った。

「………」

それを聞いて、僕はもう一度窓の外に視線を向けた。

つぼみと神様の存在がいるかいないかの話をしていたときも、空はこんな風に晴れていた。