「広瀬、昨日が最後だって言ってなかったけ?」

僕は自分の席に座って、彼女に訊いた。

「うん。そうなんだけど、一周間だけまだこの学校にいられるようになったの」

そう言ったつぼみの顔は、うれしそうだった。

彼女が口にした、『一周間』っていう単語に僕は覚えがあった。一周間=七日間。つまり、僕が神社に納めた金額と一緒だった。

女神様の言ったことはどうやらほんとうだったらしく、僕の願いをかなえてくれたらしい。

「へぇ、そりゃよかったね」

そう言いながら、僕は笑みを浮かべた。

「理由は朝礼で言うけど、これで私たち、もう少しだけ会えるね」

「うん、そうだね」

僕は、小さな声でそう言った。

彼女とまだ会えることになったことはうれしいが、それは僕のお金が続くまでだ。僕のお金がなくなると、彼女と別れることになってしまう。今までみたいにお金のむだつかいはできない。