「神様のくせに、けっこうケチなんです」

願いの決め方が、〝気持ち〟ではなく、〝お金〟だったことに僕は幻滅した。

「五円や一円で、大きな願いをかなえてもらおうと思ってる人間の方がおかしいだろ。考えてもみろ。五円納めて、『お金持ちになれますように』っていう願いなんてめちゃくちゃだと思うだろ」

そう言って女神様は、不満げな表情を浮かべた。

ーーーーーーたしかにそうだ。五円や一円神社に納めただけで願いがかなうのなら、みんな幸せになっているはずだ。

「だから私は、決めたのだ。一万円で、願いをひとつかなえてあげることに」

「なるほどね」

それを聞いて、僕はうんうんとうなずいた。

「さぁ、どうする。もっと、私に納めるの?それとも、納めないの?」

女神様は、僕に視線を向けて訊いた。

「ちょっとまってくれ」

そう言って僕は、サイフの中身を確認した。
先ほど銀行から下ろしたおかげてお金はまだたくさんあったし、貯金にも余裕があった。