「転校する彼女と一日でも長くいたいのなら、お金をたくさん神社に納めることだ。なら、彼女の転校をもっと先に引き伸ばせることができる」

女神様は、誘惑するような口調で僕に言った。

女神様が言ったことはうそかほんとうかはわからないが、取引内容は正直言って割に合わなかった。

「どうする。もっと、私にお金を納める？」

淡々とした口調で女神様は、僕に質問した。

「絶対に、一万円からなのか？」

僕は、怪訝そうな表情を浮かべて訊いた。

「うん。それ以下の金額を神社に納めても、願いをかなえることはない。たとえ、一円足りないだけでも願いはかなうことはない」

女神様は、きっぱりと言った。

僕が今日神社に一万円を納めなかったら、つぼみとは別れてしまっていたことになる。つまり今朝、つぼみが神社に納めた五千円は、神様には届いてなかったということだ。