「女性の姿をしてるということは、女神様ですか?」

「そんなあたり前のことを聞かなくても、見たらわかるだろ」

「そ、そうですよね。すみません」

女性とは思えないような言い方に、僕はペコリと頭を下げた。

願いをひとつかなえてあげるとか、神様の存在とか今まで非現実的な話だったが、今僕の目の前で起きていることはまちがいなく現実だ。

「さぁ、君の願いをひとつだけかなえてやろう」

切れ長の目をすーっと細めて、女神様は人差し指を立てて言った。

「じゃ、広瀬の母親の病気が治って、彼女とこのまま一緒にいたい」

僕は顔をリンゴのように赤くして、自分の願いを口にした。

「その願いは、むりだ」

女神様は、冷たく僕の願いを却下した。