「ほんと?」

「ほんとだって」

僕は、顔を真っ赤にして答えた。

「ふーん。でも、私は願君と一本の同じジュースを飲めてうれしかったなぁ」

「えっ!」

なにげなく言ったつぼみの言葉を聞いて、僕の心臓がドクンと音を立てた。

「どうして?」

開いた口から、僕は思わずそんなことを訊いた。

「好きだから」

「えっ!」

「願君のことが、好きだから」

つぼみは、まっすぐな目で僕を見つめた。

彼女のこの想いはお金の力なのか本心なのかわからなかったけど、つぼみの口からはっきりと聞こえた、〝好きだから〟という五文字の言葉が僕の心に響いた。

「ねぇ、海辺まで行こうよ」

「え!」

とつぜん、つぼみに手を握られて、僕の目が丸くなった。

「覚えてないの?海を見ながら、野菜を食べる約束」

「覚えてるけど………」

「じゃ、決まりね。行こう」

「ちょっと待ってよ」

僕の返事も聞かず、つぼみは強引に海辺まで僕の焼けた手を引っぱった。