「いいんだ。僕、のどかわいてないから」

そう言った僕だが、ほんとうはこの暑さのせいで、ずっと前から水分を欲していた。しかし、神社にほとんどお金を納めたため、ジュースを二本も買えるお金は僕の今のサイフの中には入ってなかった。

「ふーん、こんなに暑いのに?」

人差し指の爪でプルトップを開けながら、つぼみは苦笑いを浮かべた。プルトップを開けた瞬間、シュワっとはじける炭酸の音が聞こえた。

「ふぅ、おいしい」

つぼみは缶ジュースをゴクリと一口飲んで、はじけるような笑顔を浮かべた。

つぼみののどが上下するととともに、僕のかわきも増した。

「飲む、すごくおいしいよ」

「えっ!」

軽い口調でつぼみに訊ねられて、僕の心臓がドクンと音を立てた。

ーーーーーー抵抗はないのだろうか?僕がつぼみの飲んだあとを飲んだら、たしか……〝間接キス〟っていうんだろ。

そう思いながらも、昨日つぼみとキスした記憶が僕の脳裏によみがえった。