「そんなことないよ。そんなことぐらいで、友だちじゃなくなることなんてありえないよ」

そう言った僕の瞳から、ひとすじの涙が頬を伝って流れた。

お金がなくなって以降、僕の周りから友だちは離れていった。でも、親友の尊人だけはこうして、僕から離れることはなかった。

僕と尊人の間には、お金より大切なものでむすばれていることに、このとき初めて気がついた。



「おそかったね」

「ほんとうに、待ってんだね」

夕陽に照らさせれたつぼみの姿を見て、僕は目を丸くして驚いた。

尊人と会話をしたあと、僕は学校の外に出た。学校の外に出ると、つぼみが僕のことを待っていた。

「私のこと、信じてなかったの?」

胸の前に左手を置いて、つぼみが不満そうな顔で僕に訊いた。

「いや、そういうわけじゃないけど………」

僕は、困ったような顔を浮かべた。

つぼみは外で待っていると言ったが、あれから十分以上も経過していた。つまり僕は、十分以上も彼女を待たせていたことになる。