「久しぶり」

「えっ!」

とつぜん、となりに座っていたつぼみに声をかけられて、僕は目を丸くして驚いた。

「一周間ぶりぐらいかな?」

「そう……だね」

僕は、きんちょうした声で答えた。

「お腹、だいじょうぶ?」

「えっ!」

「石神君に蹴られたところ、お腹なんでしょ。だいじょうぶ?」

つぼみが、心配そうな表情で僕に訊いた。

「ああ、だいじょうぶだよ」

そう言ってうなずいた僕だが、尊人に蹴られた箇所まではっきりと覚えてなかった。

「よかった。一周間も学校を休んでいたから、もしかしたら、神宮君もどこかケガしてたんじゃないかと思って」

そう言ってつぼみは、ほっと胸をなでおろした。

やはり女神様が願いをかなえてくれたのか、つぼみの今の表情を見て、十日間だけ僕のことを好きになってくれていることがわかった。

ーーーーーードクッ。

そう思うと僕の頬が熱くなり、心臓の鼓動が急速に速くなる。

ーーーーーー十日間だけでもいい。つぼみとの愛情が、お金の力だとしてもいい。つぼみが、僕のことを好きになってくれたら。

彼女と結ばれた関係は〝愛〟ではなく、〝お金〟で結ばれた恋愛かもしれないが、それでも僕はつぼみに好きになってもらえたらうれしかった。