「きっともう、君の願いはかなっているはずだよ」

「そんなことは、どうでもいいよ。どうして、お別れなんだよ!」

感情が高まったせいか、僕は大きな声で訊いた。

女神様と僕の間に恋愛感情はなかったが、別れるとさびしい。季節が僕のきらいな秋だろうか、別れという言葉がよけい悲しく感じる。

「君のお金がなくなったからだよ。言ったでしょ、『私たちの関係も、お金でつながってる』って」

「あ………」

トーンを落として言った女神様のさみしそうな言葉を聞いて、僕の口が半開きになった。

脳内に記入されて通帳ゼロの数字が浮かび上がって、僕の瞳がかすかに潤んだ。

「泣いてくれるの?」

女神様が、僕の顔を見て言った。女神様にそう言われて、僕の瞳からひとすじの涙が頬を伝って流れていることに気がついた。

「そりゃ悲しいよ」

僕は、手の甲で涙をぬぐった。

今から二ヶ月前ぐらいだろうか、僕と女神様が出会ったのは。好きな彼女の転校をなんとか引き伸ばしたいという思いで、僕が神社に一万円を納めたことが女神様との出会いだった。