「ほんとうに、彼女のためにすべてお金を使うんだね」

僕から手渡されたお金を見て、女神様は呆れた声で言った。

「このお金、すべて彼女とデートのために使うの?」

「ううん、全部ではないよ」

僕は、首を左右に振って否定した。

「十日間だけ、僕のことを好きになってほしいんだ」

「つまり、十万円は彼女のデートのために使うんだね」

「うん」

僕は、うなずいた。

「残りの二十万は、なにに使うの?」

「学校を十日間、休みにしてほしんだ」

僕は、二つ目の願いを口にした。

せっかくつぼみとデートできる願いをかなえても、学校に縛られては彼女と自由に会える時間が短くなる。

「ダメかな、お金で休みを買うのは………?」

僕は、不安そうな表情を浮かべて訊いた。

「いや、できるよ。学校を十日間、休みにできるよ」

そう言って女神様は、僕の願いを受け入れた。

「で、残りの十万円は、なにに使うの?」

「十日間だけ、夏の季節にしてほしんだ」

僕の三つ目の願いを聞いて、女神様はわずかに細い首をかたむけた。