「君のお金がなくなると、彼女は転校してしまうんだよ。後悔はないの?」

「ないよ」

僕は、即答した。

「じゃ、どんな願い?」

女神様が、やんわりとした口調で訊いた。

「……デートがしたいんだ」

「えっ!」

「つぼみと、デートがしたいんだ」

自分の願いを口にした瞬間、僕の頬が熱くなったのを感じた。

お金で好きになってもらうのはどこか罪悪感はあったが、どうしてもつぼみとデートがしたかった。

「親友の彼女を、お金でうばうってこと?」

女神様は、眉間にしわを寄せた。

「違う!」

女神様にそう問われ、僕は否定した。

「ほんとうの恋愛じゃなくてもいいから、つぼみとデートがしたいんだ。つぼみに……好きになってもらいたいんだ。たとえ、それが限られた恋愛でもね」

この願いは結果的には尊人から彼女をうばうことになるが、僕はどうしてもつぼみとデートしたかった。だって、僕がつぼみの願いをかなえているのだから。