「結ばれない恋ほど、悲しいものはないよ」

「そんなことはわかってるよ。でも今、彼女と一緒にいることをあきらめたら、絶対あとになって悲しくなるよ」

そう言った僕の瞳が、かすかに涙で潤んでいた。

「好きなんだね、彼女のこと」

そう言って女神様は、目尻を下げた。

「好きだよ。だから、彼女と別れるのはいやなんだ。お金を失うよりもね……」

そう言って僕は、悲しく笑った。

つぼみが転校すると学校の教壇の上で発表してから、僕は神社にお金を納め続けた。そして、彼女の転校を引き伸ばした。それと同時に僕のお金も少なくなっていたが、彼女と長くいられたことに後悔はなかった。

「今回、僕がかなえる願いは、いつもより多いんだ」

開いた口から言った、僕の声は小さかった。

「多分、今回の願いで、僕のお金はすべてなくなる」

「三十万も、一気になにに使うの?」

僕の言葉を聞いて、女神様は目を丸くした。