「彼女が一緒にいたいと思っているのは君じゃなく、親友の方なんでしょ」

女神様にはっきりとした口調で言われて、僕は頭の中が真っ白になった。

つぼみも僕と一緒にいたいと思っていたが、それは自分の勝手な妄想だったことにショックだった。そして、このとき初めて片想いがこんなにも辛いことだと知った。

「あきらめな、かなわない恋もある」

「それが、この恋？」

僕は、苦笑しながら訊いた。

「ざんねんだけど、そうなるね」

女神様は、冷たく言った。

「まあ、お金で人間関係をつなげている以上、彼女に限らず、誰も君のことをほんとうに好きにはなってくれないだろうね」

「………」

「彼女のために、もうこんなにお金を使うのはやめな。どっちみち、君と彼女は別れないといけない運命なんだから。好きな人なんて、彼女以外にもまた出会えるよ」

「もう……出会えないよ」

「えっ！」

「もう、こんなに人を好きになることなんて、彼女以外の人とはもう出会えないよ」

この先、僕の人生で、男女の友人関係までなら、いくつか出会うことはあるだろう。でも、こんなに人を好きになることはないだろう。こんなに一緒にいたいと思う人は、もう出会うことはないだろう。