「お金の使い過ぎだよ」

女神様が、呆れたような口調で僕に言った。

家を出て十五分後、僕は神社に到着した。平日の朝だろうからか、神社には僕しかいなかった。

「君、あといくら残ってるの?お金」

「三十万ぐらい?」

女神様の問いに、僕は静かな声で答えた。

今日の空も快晴で雲ひとつない青空が広がっていたのに、僕の心はどんよりと曇っていたような気がした。

「久しぶりに父親と会えて、どうだった?」

「楽しかったよ」

明るい声で言ったはずなのに、僕の瞳は涙でかすかに潤んでいた。

父親と会えたことは、楽しかった。けれど、楽しかったぶん、それ以上に悲しかった。

「やっぱり、悲しかった………」

「だろうね」

女神はこうなることがわかっていたのか、冷たい声で言った。

「楽しかったぶん、それを失ったときが悲しくなるからね」

「わかってたんだね」

僕は、沈んだ声で言った。

脳裏に父親と過ごした短い一週間がよみがえり、涙が自然とあふれた。