「はぁ」

僕は、ため息をひとつこぼした。

父親が新しい女性と再婚して幸せになってくれたことはうれしような悲しいような複雑な思いだが、それよりも家に送られてくるお金が前よりも少なくなったことが辛い。

壁掛け時計に目をやると、時刻は午前八時二十分を指していた。すでに、学校に行く準備をして家を出ないといけない時間だ。

「学校か………」

先ほど母親に言われた言葉を思い出して、僕の口からため息混じりな声が漏れた。

一週間も休んでいただけに、学校に行きづらい。担任の先生からも学校に来るように電話もかかっていたが、そんな気持ちにはなれなかった。

「はぁ」

口からため息をひとつこぼして、僕は父親が座っていたイスに視線を移した。視線を移した先にもちろん父親はおらず、リビングには僕しかなかった。

女神様の言ったとおり、けっきょく悲しくなっただけだった。

母親が作った朝食を食べたあと、僕は自転車で神社に向かった。