「ごめんな、願。父親なのに、父親のような仕事が全然できなくて………」

「謝らないでよ、お父さん。仕事なんだから、しかたないよ」

笑顔を浮かべてそう言った僕だが、ほんとうは父親に会えなかった長い四年間、ずっとさみしい思いをしていた。

父親と話をすると同時に、家族の愛情が深まるのを感じた。しかし、これが一生続かないものだと知っているから、どうしようもなく悲しい。

「高校生活は、楽しか。願?」

「うん、楽しいよ……」

父親のなにげない質問に、僕はさらっと答えることはできなかった。

最近、一番の友人とケンカして学校があまり楽しくないことは、父親に伝えることはできなかった。それを伝えると、きっと父親は心配するだろうし、一週間しかいられないのだから、心配かけたくなかった。

「そうか、よかったなぁ」

僕が楽しい学校生活を送れていることを知って安心したのか、父親は笑顔を浮かべた。

「じゃあ、そろそろ昼食食べよっか?お母さんが、昼食の準備をしてくれているだろう」

父親がそう言ったとともに、僕たちは母親が昼食の準備している場所まで向かった。