「成長したな、願」

「えっ!」

後ろを歩いていた父親にそう言われて、僕は驚いた。

僕の少し後ろを歩いていた父親に視線を移すと、なつかしそうに目を細めていた。

「しばらく見ないうちにこんなに身長も高くなったし、小学生のころは、俺の胸のあたりまでしかなかったのになぁ」

父親は僕が小学生のころを思い出して話しているのか表情はどこか悲しそうだった。

「そりゃ、四年も会ってないんだよ。僕と」

口元をゆるめて、僕はそう言った。

身長は小学生のころと比べてもたしかに高くなったが、まだ父親の方が高かった。

「俺のこと、うらんでるか?」

「うらんでないよ」

「願は、俺に怒ってるか?」

「怒ってないよ」

口を開いて、僕は父親に本音を伝えた。

仕事の理由で四年間も家族のきずなをお金でつなげていた父親にうらみも怒りもそして彼を責めるつもりもなかったが、仕事よりも家族と一緒にいる時間を選んでほしかった。