翌朝、僕は午前七時十五分に起床した。ぼやけた視界に、白い天井が見えた。やわらかいふとんの感触が、背中越しに伝わる。

僕はふとんを畳んだあと、寝室から廊下を出て、リビングに向かった。

ーーーーーー昨日の僕の願いがかなっているのなら、リビングに父親がいるはずだ。

そう思って僕は、リビングにつながるドアノブを右手で軽く握った。きんちょうしているせいか、僕の手は汗ばんでいた。そして、ゆっくりとドアを開けた。

「お父……さん?」

リビングに広がる光景を見て、僕は目をかっと見開いた。

女神様は一万を納めれば今までどんな願いもかなえてくれていた。しかし、さすがに今回の願いは女神様でもむりかあっと心の中で僕は思っていたけれど、リビングには新聞紙を広げて読んでいる父親の姿が目に見えた。

父親の朝食だろうか、彼の好物のハムエッグとコーヒーが、食卓テーブルの上に置かれていた。マグカップから淡い湯気が立ち込め、コーヒーの匂いが僕の鼻腔を刺激した。