私は、人の心が見えてしまう〝呪い〟にかかっている。
だから彼女たちの頭上に目を向けると見えてしまう、その心が、醜い本心が。
呪いといっても別に誰かに呪われたわけではないし、悪事を働いたわけでもない。
ただ、人の顔を見るとその人物の思考が文字となって頭上に見えてしまうだけ。言ってみれば超能力のようなもの。
けれど私は、これを超能力だなんて思ったことはない。

『こっちは彼氏に振られたばかりなのに、なんでこいつばっかり幸せそうなの?』

口では笑顔を作り楽しげに頷く半面、彼女たちはそんなことばかりを考えている。どれだけ仲がよさそうに話をしていても、私の目に映るこれこそが真実だ。
彼女たちは嫉妬し合い、蔑み合い、それをひた隠しにしてドロドロの友情を演じ続けている。
私の目には、そんな光景だけがひたすら飛び込んでくるのだ。
これを超能力なんて便利なものと呼べる人間が一体どれだけいるのだろう。少なくとも私には無理だった。
心なんて見たくもないのに、顔を見るだけで問答無用で内側を暴いてしまう。だから私はこの体質を〝呪い〟だと思うことにしている。