今だから言うけど、実は最初見たときから、玲美のこといいなって思ってました。
手紙じゃなきゃ絶対に言えなかったことです。いや、手紙じゃなきゃっていうより、生きてる間はって感じかな。
いわば捨て身の攻撃、みたいな感じです。ずるくてごめん。
「バカ。直接言ってよ」
思わず愚痴がこぼれる。
手紙でそんな大事なこと言わないでよ。
でも、この手紙がなければ、永遠に知ることはなかったのかもしれない。
こみあげてきたのは、嬉しさと切なさだった。
心が、強い力でギュっとつかまれたかのように痛かった。
一度、大きく深呼吸をしてから、再び続きを読み進める。
それから、休み時間とか、放課後とか、僕と玲美はよく話すようになりました。
朝、登校して、玲美に「おはよう」ってあいさつするのが、僕の学校へ行くモチベーションでした。あ、これも捨て身の攻撃だね。
私も、弘斗からの「おはよう」が嬉しかったし、それ以上に、放課後の「また明日」も好きだった。なんて、今更言ってみても、そんなやり取りをすることはもう二度とないんだけどね。
あと、金曜日の放課後は、一週間の終わりで嬉しいはずなのに、すごくさみしかったっけ。
二日間、弘斗に会えなくなってしまうからなんだけど、あの頃の私たちの関係はただの友達だったから、そのさみしさを黙って我慢することしかできなかった。
たったの二日間。今の私には、すごく贅沢な悩みに思える。
だって、三日後にはまた会えるのだから。