僕が入院している間も、毎日のようにお見舞いに来てくれて、本当に感謝しています。

 玲美のおかげで、楽しい闘病生活になりました。

 あまりにも玲美がお見舞いに来てくれるものだから、受験が心配だったけど、無事に第一志望に受かったみたいでよかったです。もうすぐ玲美は大学生か。うらやましいな。



 楽しい闘病生活って何?

 そんなの嘘だ。

 弘斗がたくさん苦しんでいたことも、それを私に見せまいと必死で強がっていたことも知っている。

 痛みだってひどいはずなのに、私の前では弱音一つ吐かずに、弘斗は私の大好きな笑顔で笑っていた。

 無理させちゃってたのなら、ごめんなさい。

 でも、私の存在が、少しでも弘斗の支えになっていたらいいと思う。

 それは、どこまでも自分勝手な願いで、心からの祈りだった。

 私はほとんど毎日、弘斗の病室に訪れた。

 さすがに邪魔だと思われるかも、と自分でも思ったけれど、はっきりと拒否されるまで続けるつもりだった。結局、最後の最後まで、弘斗は拒絶することなく、私を受け入れてくれた。

 意図しない形で、彼の両親とも会うことになった。二人とも、弘斗に似て、穏やかな人だった。

 申し訳なさそうに「来てくれてありがとう」と言う弘斗を見るのはつらかったけれど、それでも私は弘斗のことが好きだったから、通い続ける道を選んだ。



 さいごに一つだけ、玲美にお願いがあります。



 下から三行目には、そんな一文が書かれていた。

 私はしばらく、その先に書いてある文章を読むことができなかった。