そのあとも、二人で色んな場所に出かけたり、色んなものを食べたりしました。
喧嘩はあんまりしなかったけれど、たまに玲美の機嫌を損ねちゃったりもしました。
理由を聞いても教えてくれなくて、その度にすっごく悩むんだけど、結局教えてくれないままでした。正直、今でもよくわかっていません。こんなダメな彼氏で、本当にごめんなさい。
本当にバカなんだから……。
謝らなくちゃいけないのは、私の方だ。
喧嘩にならなかったのは、弘斗が優しいからだよ。いつも、わがままばっかり言ってごめん。
あと私の機嫌が悪くなったのは、ただの八つ当たりだ。本当にごめんなさい。
でも、他の女子と仲良く話す弘斗を見てると、どうしてもムカムカする。そんなこと、絶対教えてあげないけど。
手紙を読むと、そのことをけっこう気にしていたみたいで、少し反省。
直接謝りたいな……。
思い出を一つひとつ、全部書き連ねていきたかったけれど、それじゃあ時間と紙がいくらあっても足りなそうだから、省略します。
きっと、ここに書くまでもなく、玲美の記憶の中にも残っていると思うから。
その通りだバカ。
朝、早起きしてテーマパークへ行ったことも、放課後にファミレスでドリンクバーだけ頼んでテスト勉強したことも、夜の公園で――初めてのキスをしたことも。全部、大切に胸にしまってある。
けれど、私たちが恋人同士になってから、弘斗は色々と無理をしていたのだと思う。
弘斗はテーマパークで、絶叫マシンには乗らなかった。苦手だからと言っていたけれど、本当は体に負担がかかるからなのだろう。
ファミレスで弘斗が食後に飲んでいた薬はきっと、風邪薬なんかじゃなかった。
思えば、他にも予兆はたくさんあった。
体育の授業を見学するようになったのも、たまに学校を早退することがあったのも。
それに気づけなかったことが、すごく悔しい。でも、気づけていても、たぶん何も変わらなかったのだろう。