一人で揺られる電車で、やっぱりさみしくなった。
お揃いのキーホルダーを袋から出して眺めることで、さみしさはいくらか中和された。
スマホで撮った写真を見る。面白い形をした魚の写真や、可愛いペンギンの写真。そして、楽しそうに笑う弘斗の横顔。こっそり撮ったつもりだったんだけど、すぐに気づかれてしまった。
弘斗は怒るどころか「一緒に撮る?」なんて言ってきて、口から心臓が飛び出るかと思った。彼も少し照れていたようで、顔が赤くなっていた。
私たちは、大きな水槽の前でツーショットを撮った。
その写真を見ると、二人の間には、だいたい二十センチくらいの距離があった。いつかこれがゼロに近づきますように、と願う。
私は上手く笑顔が作れていなくて、弘斗は少しブレてしまっていた。
全体的にあまり良く撮れていなかったけれど、この写真は宝物だ。
すごく、楽しかったなぁ……。
幸せな気持ちに浸りながら家に帰り、お風呂でシャワーを浴びていると、重大な事実に気づいた。
別れ際に、また、とは言ったものの、具体的な約束はしていなかった。
今は夏休みだ。学校に行けば会えるわけではない。
弘斗に、次に会えるのはいつになるのだろう。
私から誘ってみようか……。でも、迷惑に思われたらどうしよう。
じゃあ、弘斗の方から連絡がくるのを待とうか。でも、向こうから誘いがあるなんて保証はどこにもない。