お揃いのペンギンのキーホルダーを購入した私たちは、並んで駅までの道を歩いた。
前回みたいに話題が途切れることはなく、たくさんのことを話せた。前の日に話したいことを整理して、脳内に刻み込んできたおかげだ。
ほとんど一方的に私が喋っていたのだけれど、弘斗はつまらなそうな顔をすることなく、ずっと私の言葉に耳を傾けてくれていた。
電車に乗って、隣に並んで座る。今回は途中の駅まで、弘斗と一緒だった。
「今日は楽しかったね」
弘斗が私に言った。その一言が、泣きそうなくらい嬉しい。
良くも悪くも、嘘のつけない素直な人だから、この言葉はたぶん本心だ。
「うん」本当に楽しかった。好きな人とのデートだったから。「ペンギンも見れたし」と付け足したのは、私なりの照れ隠し。
電車内には、仕事帰りのサラリーマンや、大学生らしき集団がいた。
私たちは、他の人から見てどう見えているのだろう。カップルだと思われているだろうか。カップルに見えていたら嬉しいな……。そんなことを考えて、急に顔が熱くなる。
「あ、着いちゃった。じゃあ僕はここで。またね」
弘斗の降りる駅に到着し、彼は席を立つ。
「うん。また」
私は手を振って、弘斗を見送った。