突如、眼前に起こった巨大なエネルギー。

リアルに出逢う災害は、メディアで見る物とは段違いの恐ろしさがあった。

直接見る瓦礫の渦。

直接感じる暴風。

直接つんざく叫喚。

未体験の集合体が、俺を焦燥の内に飲み込んだ。

「──おい!しっかりしろ!大丈夫か!?」

──俺の名前は巫 永哉。まぁ、なかなか珍しい苗字とは言われるが…

巫と書いて『かんなぎ』。
でも名前は普通だな。えいや、ってさ。
苗字のインパクトがありすぎでしょ。

──って、そうじゃない。さっきから叫んでるけどこの女の人ぜんっぜん起きないんだけど…

「おいって!くっそ……連れてくか……!」

どうやらこの女の人は吹っ飛んだ瓦礫に頭をぶつけたのだろう、頭から血を流して気絶している。

俺はその時たまたま居合わせたからこうして助けようとしている。
流石に見て見ぬふりは後味が悪い。

とりあえず路地裏まで引き摺るように連れていった。

「はァ…はァ……。止血、しないと」

「いや、大丈夫よ……もう血は止まったはず」

「うぇっ!?いつから目を覚ましてたんだ…?」

「……さっき。あんなに引き摺られたら流石に起きるよ…」

「あ、なんかごめん…名前は?」

「私は──柊 セレン。『聖』に『恋』でセレンよ」

その瞬間、彼女の瞳が赤黒く光って見えた。