それは、ある日の朝礼の時だった。
「仕事には関係ない話なのだが、皆に知らせておきたい事がある。」
部長が、金子さんと小百合を、皆の前に呼んだ。
「この度、金子君と中野さんが、結婚する事になった。」

頭が、真っ白になった。

どこからともなく、拍手が送られ、私も力のない拍手を、二人に送った。


「ねえ、あの二人付き合っていたって、知ってた?」

「知らなかった。内緒にしてたのかな。」

周りからは、まるで恋話のように、ワクワクドキドキと、二人の話を盛り上げた。

一人だけ私は、二人を見ないで、床を見ていた。

金子さんと、小百合が二人でいるところを見ると、胸が痛い。


そう、私は金子さんの事が、好きなのだ。

なのに、急に結婚だなんて。