見上げた青い空に、まるでひっかき傷みたいな飛行機雲が斜めに一筋、走っていた。


明日、私はあの空を越えて彼から遠く離れる。


”待たなくていいよ”


それは間違いなく本心だけれど
わがままな私は願ってしまう。


どうせ消えてくあの空の飛行機雲みたいに


ほんの少しの間でも
この恋が彼の傷になればいい。


ほんの少しの間でいいから、寂しい、痛いと泣いて欲しい。