「す?」
自分がなにを言おうとしているのか気づいたのか、布浦さんが言葉を途切れさせる。
さらに意地悪く宗正さんに笑われ、悔しさからか俯いてしまった。
「まあ、誰が誰と付き合おうと勝手だからな。
それに人の恋路を邪魔する奴は、馬に蹴られて死んじまえともいうし。
……ほら、みんなさっさと昼休み行かないと、メシ食いっぱぐれるぞ!」
あたりを支配していた重たい空気が池松さんの明るい声で晴れていく。
きっかけを作るかのようにパンパンと手を叩かれ、完全に日常に戻っていた。
「詩乃、いこ」
「あ、はい」
手を引っ張られて俯いていた顔をあげる。
宗正さんは小さく頷いてくれた。
宗正さんにつれられてきたのは蔦の絡まる雑居ビルの二階にある、洋食屋さんだった。
「なんかごめんね、さっき」
「いいえ」
すまなそうに宗正さんは私に詫びてくれるけど、別に悪いのは宗正さんじゃ……あれ?
もしかして池松さんが間に入ってくれたからあれで収まったけど、あのままだったら前みたいな騒ぎになっていた……?
「お詫びに今日はおごるね」
「あの……」
「なに?」
真剣にメニューを見ていた宗正さんだけど、私の声で顔をあげる。
「その、さっきみたいなのはやめた方がいいかと……」
「あー……。
食べながら話そうよ。
時間、なくなっちゃうし」
「……はい」
誤魔化すようににっこりと笑われるとそれ以上なにも言えなくなって、私もメニューに視線を落とした。
「決まった?」
「はい」
「すみませーん」
少しして声をかけられ頷くと、宗正さんは店員を呼んだ。
「大人のお子さまランチのハンバーグと」
視線で促され、メニューから顔をあげる。
「本日のパスタで」
「かしこまり……」
「ちょっと待って!」
店員の声を遮る宗正さんの声に、私も店員もびくっと小さく、身体を跳ねさせてしまう。
「大人のお子さまランチ、ふたつ。
以上で」
「大人のお子さまランチふたつですね。
少々お待ちください」
自分がなにを言おうとしているのか気づいたのか、布浦さんが言葉を途切れさせる。
さらに意地悪く宗正さんに笑われ、悔しさからか俯いてしまった。
「まあ、誰が誰と付き合おうと勝手だからな。
それに人の恋路を邪魔する奴は、馬に蹴られて死んじまえともいうし。
……ほら、みんなさっさと昼休み行かないと、メシ食いっぱぐれるぞ!」
あたりを支配していた重たい空気が池松さんの明るい声で晴れていく。
きっかけを作るかのようにパンパンと手を叩かれ、完全に日常に戻っていた。
「詩乃、いこ」
「あ、はい」
手を引っ張られて俯いていた顔をあげる。
宗正さんは小さく頷いてくれた。
宗正さんにつれられてきたのは蔦の絡まる雑居ビルの二階にある、洋食屋さんだった。
「なんかごめんね、さっき」
「いいえ」
すまなそうに宗正さんは私に詫びてくれるけど、別に悪いのは宗正さんじゃ……あれ?
もしかして池松さんが間に入ってくれたからあれで収まったけど、あのままだったら前みたいな騒ぎになっていた……?
「お詫びに今日はおごるね」
「あの……」
「なに?」
真剣にメニューを見ていた宗正さんだけど、私の声で顔をあげる。
「その、さっきみたいなのはやめた方がいいかと……」
「あー……。
食べながら話そうよ。
時間、なくなっちゃうし」
「……はい」
誤魔化すようににっこりと笑われるとそれ以上なにも言えなくなって、私もメニューに視線を落とした。
「決まった?」
「はい」
「すみませーん」
少しして声をかけられ頷くと、宗正さんは店員を呼んだ。
「大人のお子さまランチのハンバーグと」
視線で促され、メニューから顔をあげる。
「本日のパスタで」
「かしこまり……」
「ちょっと待って!」
店員の声を遮る宗正さんの声に、私も店員もびくっと小さく、身体を跳ねさせてしまう。
「大人のお子さまランチ、ふたつ。
以上で」
「大人のお子さまランチふたつですね。
少々お待ちください」