「俺、そんなに外を見てたんだ……無意識だったな……父さんに昔から笑えってよく言われてた」

「……うん」



「小学生の時、授業で自分の名前の由来を調べる宿題あった?」

「あったよ」

「俺が産まれた時、すごく快晴だったんだって、晴れてたから晴れて輝く男になれって晴輝ってつけたらしい」

「うん、いつも笑ってるし輝いてると思うよ、でもまだこの間なんだから無理はしなくても」

「学校行ってる間は忘れてるつもりなんだけど……

でも管野がそういうならふっとした時に考えてんだな、家に帰っても何も手につかなくてついお墓に来ちゃうんだ

部活があるから火曜日だけ休ませてもらうようにしばらく顧問にも了解もらって……って何でお前泣いてんの?」

雨愛は目に涙をためて今にも溢れそうだった

「わかんないけど……この間亡くなったのにテストもあってあんなに教室でも笑ってるし……ぐすっ、ごめん本当に私泣き虫で……」

晴輝は頭に被っていたタオルで雨愛の涙を拭った

「ぐすっ、私はね、三ツ矢くんと反対で大雨の日に産まれたらしいのね、ズズッ、あっごめん」

雨愛は自分の頭に乗せてたタオルで鼻を押さえた

「でもね、雨でもみんな嫌がらずに愛されるようにって雨愛(うみ)になったの」

「最初、なんて読むかわからなかった(笑)」

「だよね、みんな読めないよ、でも私雨女なんだー、愛されるどころか小学生の時なんて雨が名前に着いてるから雨がふるんだよってよくからかわれてた」

「ふっ、俺らって何で天気に左右されてんだろうな」

「そうだね」

二人はシーンとなってしまった



「あの、えっと三ツ矢くん、お墓に来て笑ってお話してあげるとお父さんもきっとうれしいと思うよ、へへっ」

雨愛は鼻をすすり笑顔になった

「そっかな、忘れないといけないって思ってた、いつまでもグズグズしててもいけない、前に進まなきゃって」

「前に進むことは大事なことだけど忘れることはしなくていいでしょ」

晴輝は涙ぐんできた

「ごめん……」

タオルで顔を覆う

「私、ちょっと着替えてくる、おもいきり泣いていいよ」

雨愛は御堂から出て家のほうに行く