「俺、今彼女いないよ、亜美とは別れた
あの時言ったら色々説明しなきゃいけなくなると思って黙っていたけど」
「でも、さっき電話……」
「別れたのにしつこいんだよ」
「話した……の?」
「いや、出なかった」
「三ツ矢くんでもそんなことするんだ」
「俺でもってどんだけ俺のこと過剰評価してんの?」
「いつも明るくてみんなの人気者、笑顔がとても似合う、サッカーも上手い」
「確かに笑えって言われてって前に言ったけどいつもそんな俺じゃないからね、一人で笑うなんて無理だから」
「だって、一年からずっと見てきたけど笑顔しか見たことないもん」
「ふっ、一年から?」
雨愛は真っ赤になった
「そうだよ、一年から三ツ矢くんのこと見てたの、私はいつも泣いてばかりで自分のこんなすぐ泣くとことかすごい嫌で……
もう言った側から泣いてしまう……いやんなっちゃうの……」
雨愛は顔をぐしゃぐしゃにしながら涙を拭う
「こんなすぐ泣いちゃう子なんて嫌だよね、すぐ泣いて逃げるみたいに男の人は思うでしょ
でも泣けば許してくれるなんて私は思ってないし、わざと泣いてるんじゃないんだけど出ちゃうの、うっ、」
晴輝は貸してもらったタオルで雨愛の涙をふく
「管野は俺のことが好きなの?」
雨愛は頷いた
「好き……です」
「……ごめん」
雨愛は顔を横にふった
「管野のこと嫌いじゃない
看病してくれた時すごい嬉しかったし、人といるのってやっぱりいいと思ったけど……
今は付き合えない」
「いいの、こんな時に言う私も悪い」
「俺が言わせた、管野の気持ちが知りたくて、少しいじわるだったかな、ごめん」
「謝らないで」
「今の俺は付き合っても彼氏らしいことはできないし、これからバイトも始めなきゃいけない
デートも出来ないかもしれない、だから今は管野の気持ちには答えることができない」
「うん、うん、ありがとう」
「管野のことは好き」
「えっ」
雨愛はびっくりして顔をあげた
「だからもう少し俺が自立できるようになるまで待ってほしい」
「待つ?……」
「駄目かな?」
「待つのなんていや、彼女じゃなくてもいいから三ツ矢くんの役にたちたい、そのお掃除とかご飯とか、私こそ駄目かな?」
「そんなの俺が甘えてしまう」
「甘えてほしい」
「じゃあ、俺といるときは笑って、泣き顔もいいんだけど、やっぱり笑ってるほうが可愛いと思うし」