二年A組
長かった夏休みも終わりいよいよ今日から二学期が始まる
「おはよー」
「おはよ」
「おっす」
教室に入ってきた三ツ矢晴輝(みつやはるき)
は入ってくるなり大きな声でみんなに挨拶していく
そして窓際の一番後ろの席へと向かう
黒板には一学期の最後に決めた今日からの席順が書いてあった
「おはよ、管野(かんの)」
「お、おはよう」
私に挨拶をしてくれた三ツ矢くんは少し童顔でイケメンというよりどちらかといえばかわいいタイプ、いつもニコニコ笑顔の爽やかな男子……
そうなんです、私、管野雨愛(かんのうみ)の好きな人なのです
三ツ矢くんとは一年の時も同じクラスだったけど行事がある時に少し会話する程度……
恥ずかしがりやの私は話す時もいつも下を向いてしまう
でもさすがに失礼なので目は上を向けて一応合わす
「管野はあまり日焼けしてないな(笑)夏休みは外に出なかったのか?」
「そ、そうだね、あまり暑いのは苦手かな」
「ふぁ~眠い」
晴輝は大きなあくびをした
前の席の男子が話かける
「何だよ晴輝、寝不足か?」
「まあな、夏休み気分がまだ抜けねえ」
雨愛も晴輝のあくびがうつって下を向いて口に手を当ててあくびをした
(やだ、うつっちゃった)
「ハハッ、管野に俺のあくびがうつった」
「あっ」
雨愛は口に手を当てたまま顔をあげた
「あくびで泣いてる(笑)」
「おはよ、雨愛、何で泣いてるの?」
雨愛の前の席に友達が座った
「これはあの……泣いてなくて、あくびが……」
と話しているとまたあくびが出てきた
「もう、あくびで涙が出るのはまあわかるけどさ雨愛のは本当に流れるくらいの涙の量だよ」
「でも、泣いてないもん」
「だからこう、つぅーって……ほら」
ティッシュを出してくれた
「ありがとう」
「でも、きれいな涙だよな」
晴輝が隣から話す
「えっ、涙にきれいとか汚いとかある?の?」
「うーん、俺はあると思う」
その先のことを聞こうと思ったが先生が登場したため話は終わってしまった