君は、転校生だった。
君と出会った次の日、私のクラスに先生と入ってきたから、驚いた。
空席だった私の隣に座るや否や、ぎこちなく手を差し出された。
『昨日は、急に悪かった』
『ううん』
『俺、佐野 涼太(さの りょうた)。よろしく』
『私は、橘 梨花(たちばな りんか)』
『...綺麗な名前だな。...って、口説いてるわけじゃねーぞ!? 率直な感想だから!』
『ふふ、わかってる』
勝手に自分で言ったことに焦り、耳をちょっぴり赤くさせて勝手に弁解する君に、思わず頬が緩んでいた。
ヤンキー風な強面の君の裏表のない性格に、人見知りに加え過去を抱える私でも、心を許すのに時間はかからなかった。