悠馬のおかげで、気まずくないでいられている。
ホッと息を吐いて、今度は咲希を見た。




「咲希、私たちが買い出しに行ってた間に、涼太と何があったの?」

「思い出す限り、買い出しから帰ってきてアイツの様子がおかしかったぞ。咲希が何かしたんじゃないだろうな?」

「へっ? してないしてないっ」




誰も心当たりはない。
心当たりがあったら、今こうして悩んでいることもない。




「じゃあ、買い出しの間何してた?」

「うーん.......特に変わったことはしてないよ。ゲームしたり話したり.......あ、」




何か思い出したように、固まる咲希。




「そういえば、卒アルを2人で見た。あたしたちの中学の」




中学の卒業アルバム。
それはほんの興味本位で見たり見せたりするもの。


私たちの中学の卒業アルバムと言えば、涼太には関係がないもの。
その中に、涼太の行動の理由が隠されているとは思えない。




「.......一応、開いてみよう。何かあるかもしれないだろ」

「...そうだね」




棚から取り出したアルバム。
懐かしさ残る、空に向かって羽ばたく男女が描かれた表紙。


ゆっくりと、思い出のページをめくった。


するとすぐに目に飛び込んできた、光太朗の花が満開に咲いたような笑み。
幸せに満ち溢れた笑みを浮かべる私。
あどけなく無邪気に笑う咲希。
見守るように微笑む悠馬。

4人が肩を組んだ写真だった。


そこだけ、輝いて見えた。
涼太にもそう見えたのではないだろうか。


2人も同じ写真を見ていたのだろう。




「.......懐かしいね」

「.......ああ」

「みんな楽しそう...」




この写真がある卒業アルバムをもらってすぐに、光太朗はいなくなった。
高校生になる前に、その姿を消したんだ。