その代わり“ランラン”という4文字がその領域のすべてを占めた。

心臓がどくんと跳ねる。


“面倒な子”

“南高の人”

“中学の同級生”

“ランラン”


彼女が今挙げた“特徴”に私はすべて当てはまる。


“面倒な子” “今は南高の人” “中学の同級生”


ここまでだったらまだ当てはまる子が他にもいるかもしれない。言いようによっては、美和だって当てはまる。


でも、それらに加えて“あだ名はランラン”なんて人、限定される。



“ランラン”なんてあだ名、中学時代に呼ばれていたのは私だけのはずだ。


私の“ランラン”は吹奏楽部限定のあだ名だから、もしかしたら他に呼ばれていた子がいたかもしれないけれど、数百人いた中学の同級生の中にもしかしたらいたかもしれないけれど。



でも、そんな子いたら私だって知っている。同じあだ名の子がいるって認識できる。



でも、そんなの聞いたことがない。



“もし横澤が、まだ蘭のこと好きだったらどうするの?”