「広樹、こいつ案内してやってよ」
着用の様子を見ていた福山がため息をついて、横澤の呼び出しを知らせにきた男子へ声をかける。
「え、うんいいけど、この子誰!?」
「あー…… 俺の連れだから安心して」
情報を持ってきた人物は広樹くんというらしい。
広樹くんが私の正体を掴めてないことにざっくり福山が説明したあとに間髪入れずに私は案内役の彼のブレザーの裾を掴む。
「広樹くん行くよ!!どっち!!?」
「え、とりあえずこっち真っ直ぐ!!」
まだよく飲み込めていない広樹くんと中庭へ向かってひたすらダッシュ。
そんな後ろ姿を福山が「ちょっとでも進展あればいいいのになぁ」なんて言葉で見送っていたとも知らずに。