「ブレザー貸して!」

「おっまえなあ……!」

「だったらさっきの“噂の”の続き、教えて」

「……………」


え、ここでそんなに黙るの?


「……はい」


一瞬の沈黙の後、そう言って素直にエナメルから取り出したブレザーを差し出してくる福山。


おい逆にその“噂の”の続きがすごく知りたくなったんだけど。

まあ、それはブレザーあっさりと渡してくれたから横に置いておいて。



「中庭はどこ!?」


福山のブレザー装着。さすがに福山サイズとなると私のスカート丈まで着丈がある。大きい。


前ボタン3つも留めちゃえば、本来中央高であふれる深いグレーのブレザーの中に漆黒のセーラー服が侵入しても夜の暗さも相まって前からも後ろからも分からないだろう。